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Killer Street

第三章『殺人衝動』1

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「――で? おまえが来たってことは、なにか分かったってことか?」

次の日、数日ぶりに橘組若頭の笈川おいかわ 一臣かずおみが、橘のマンションを訪れた。

いつものように高そうなスーツに身を包んだ笈川は、壁一面、天井までガラスの嵌め込まれた広いリビングのダイニングテーブルの前に座り、長い足を組んで、橘のぞんざいな問いかけにゆっくりと首を横に振った。

「いや」

笈川の端的な返答に、橘の表情が途端に凶悪なものに変わる。

橘を狙った銃撃犯人の探索になんの進展もないということは、橘自身の軟禁の延長を意味している。既に数日に渡る籠城にストレスを溜め込んでいる橘にとっては腹立たしいのに違いない。

プロの殺し屋に組長の命を狙われているという状況は、当然、組のメンツに関わるだけでなく、組の存亡に関わる一大事である。

橘組の組員たちは総出で、殺し屋とその依頼主に的を絞って調査を進めているのだろうが、橘を狙った狙撃から一週間近くが経とうとしているにも関わらず、進展はないようだった。

「てめぇ、なにしにきやがったんだよ?」

組長である橘が険悪な声をあげたが、その不機嫌を軽く受け流して、笈川は言った。

例の先生、 、 、 、からはまだなにも掴めない。だから、アプローチを変える――今日はそれの相談だ」

「アプローチぃ?」

橘がふんと鼻を鳴らすと、笈川が頷いた。

「依頼主の方がダメなら、サービス提供者の側だ」

「サービス提供者って…」

殺人サービス提供者側だ、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、

慧の疑問に、笈川が答えた。

「殺人サービス…」

笈川のあまりにも軽い口調は、慧にショックを与えた。

慧は、笈川の橘への想いを知っていた。

――愛しているに決まってるだろう

以前、橘を愛しているのだろうと詰め寄った慧の瞳を正面から見据えて、笈川はそう言った。

――愛していなけりゃ、男なんて抱けるか

それは慧も同様だ。きっと笈川も、そして慧も、もともと同性愛者というわけではない。

それがどうして、同性の橘にこれほどまでに惹かれてしまったのか、今ではもう分からないけれど、それでも愛していなければ、こんな想いはしない。

自分と同じように橘を想っている笈川が、橘が死んでしまってもいいと思っている筈はない。笈川は、自分の命を橘に懸けていると言ったのだ。

それなのに、自分の愛する者が命を狙われているという現実をこんな風な軽口にしてしまう笈川の言動に、慧は動揺した。

しかし、当の橘も、その点は特に気にしてはいないようだった。

「はっきり殺し屋って言えよ。なんだよ殺人サービスってのはよ」

橘は、笈川の言い草に、うんざりした声を出したが、すぐに真顔に戻った。

「殺し屋側から洗おうってのか?」

橘がそう言うと、笈川が頷いた。

「プロの殺し屋がそんなに簡単に尻尾を出すか?」

「向こうからこっちにコンタクトを取ってくるように仕向ける」

笈川が言った。

「昨日、裏のスジに、例の先生とは別口を装って、おまえを殺せる奴を探しているという情報を流してみた」

笈川の言葉に、橘が片眉をあげた。

「裏の世界じゃおまえは有名人だ。並のヤツはこんな話に喰いつきゃしないだろう。でも…」

「俺の殺しを引き受けたヤツなら喰いつくってのか?」

「どっちでも構わないだろう」

笈川は、指先でテーブルを叩いた。

「もうひとりくらいおまえの殺しを請け負おうっていう強者もいるかもしれないが、おまえを狙ってる殺し屋にしてみたら、他の誰かに自分の獲物が先に捕られたんじゃ、今後の評判に関わるからな」

それを聞いた橘は、自分の命の話だというのに、くくっと喉の奥で嗤った。

「おまえは本当にヤバい男だな。殺し屋同士で相討ちさせようってのかよ?」

しかし、笈川はすました顔のまま肩を竦めた。

「そんなことを期待するほど楽天的じゃない」

それからにやりと笑う。

「誰かがおまえの殺しを請け負ったと聞けば、今、おまえを狙っているヤツは、その同業者を先に排除しようとするだろう。そこで殺し屋同士の相打ちの成功を期待するほど楽天的じゃないが、そこに張ってれば、少なくとも殺し屋を捕まえられるかもしれない」

「新しい殺し屋を囮にする気かよ…」

橘は、まるで他人事のように笑った。

「相変わらず汚ぇ絵図*9は得意みてぇだな」

「文字通り人を喰って生きてるようなヤツの心配をしてやるほど、こっちも余裕がないんでな」

笈川は涼しい顔で言った。




*9… 計画
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