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New Moon

Mid Night ヨコハマー夜明 1

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明日は来るか――裕貴ゆうきにそう尋ねられはしたが、何時に来いとは言われなかった。

だから、次の日、一臣かずおみはいつもどおりに塾に行ってから、隠れ家のアパートへと向かった。

塾の後、アパートへ寄り道していたのでは、どう頑張っても通常の帰宅時間には間に合わなかったが、一臣はそこに使う気力が薄れているのを感じていた。

もちろん、帰宅の遅れを母に告げはしたが、正直それも、どうでもいいことのようにしか感じられない。

それよりも、裕貴のことが一臣の頭を占めていた。

死にたい、ではなく、生まれてこなければ楽だった、と言ったあの少年は、一臣に、明日も来るのか、と問うた。

問われた時は、ただ、彼の残酷な制裁行動を目の当たりにした一臣が、怖気づいたと思われているのかと思った。

けれど――

家に帰れば親が待っていて、温かい食事が用意されている――そんな日常は、あの金髪の少年にはない。

そんな少年は、きっと一臣が当たり前に思っている、昨日と同じ明日、 、 、 、 、 、 、を無条件で期待していないのではないか、と思った。

今日、ともにいたからといって、明日の約束が確約されるわけではない――

自らを産み落とした親ですら、去っていくのであれば、一体、誰が彼とともにいてくれると信じられるだろう。

誰が――彼の安らかな眠りを約束するのだろう。

一臣の歩調は、知らず知らずのうちに早まっていた。

アパートの玄関が見えるところまで来ると、廊下に面した防犯用アルミフェンスの嵌った小窓から明かりが漏れているのが見えた。

滑りの悪い鍵を回して、ドアを開けると、いつものように、コンクリートが剥きだしの玄関のたたきに、見慣れた小さなスニーカーが脱ぎ散らかされていた。

なんとなくほっとした気持ちで靴を脱ぎながら一臣が、ふと顔をあげると、ほんの少しだけ驚いたように目を見開いてこちらを向いている裕貴と目が合った。

「――な、なに?」

視線がまともにぶつかって一臣の方が怯んでしまった。

次の瞬間、裕貴はいつもの冷めた顔つきに戻っていた。

「こんな時間だから、もう来ないと思ってた」

「来るって昨日、言ったろ」

そう言いながら、一臣が鞄を畳の上に放ると、小さな舌打ちが聞こえた。

「――いきなりドアが開いたから、びっくりした。ビビらせんじゃねぇよ」

口をへの字に曲げているせいか、横を向いた裕貴の頰がぷっと膨らんで見える。その子どもじみた表情に、一臣は思わず吹き出してしまった。

「なにがおかしいんだよっ」

裕貴はますます不貞腐れて喚いた。

一臣は、なんでもないと誤魔化して、こみあげる笑いを飲み込んだ。

そんな一臣を横目で睨みつけていた裕貴が、ふんと鼻を鳴らして立ち上がった。

「さっさと着替えろよ。出掛ける」

「出掛ける? どこへ?」

予定の決行日は明日だった筈だ。それを前にして、不用意にどこへ出掛けるつもりなのだろうか。不思議に思って尋ねると、先ほどまで頰を膨らませて、不貞腐れた表情を浮かべていた裕貴が、にやりと笑った。

「てめぇのそのバカ笑いが止まるところだよ」

その顔には、もう先ほどまでの幼さは残っていなかった。

その瞳の奥には、野生の光がぎらついていた。
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