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New Moon

Mid Night ヨコハマー夜明 8

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横浜駅西口は、新開発地区のすっきりと整った外観においてきぼりにされたような様相の区域だ。

狭い道路の両脇に、ひしめき合うように飲食店や店舗が並び、その間を大勢の人間が互いにぶつかり合いながら、歩いている。

点在する客引きから逃げる人の動きが、その混雑をますます複雑なものにしていく。

一本、裏の通りに入れば、喧騒は多少、静まるが、それでも多くの人出があることは間違いない。

その裏通りにある自動販売機の前に、数人の少年たちがバイクに跨ったまま、缶ジュースを片手に笑い合っていた。

その燃料タンクに、見慣れたスティッカーを確認する――横浜タイタン――

目立つショッキングピンクのバイクに跨ったまま、裕貴はその少年たちに近寄った。

自分たちに近づく影に気づいた少年たちが顔をあげ、自分の目にしているものを信じられないという目で見つめた。

ここ数週間、自らの所属するグループが、血眼になって探し回っていた標的――橘 裕貴が目の前にいる。

「なにしてんの? 俺も混ぜてよ」

まだ子どものような丸い頰の間の、薄い唇の端をあげ、金髪の少年がにやついた表情を向けた。

「――てめぇ――…っ」

少年たちは気色ばんだ声をあげた。

興奮のせいか、少し声が震えている。

「鬼ごっこしようぜ」

裕貴はそう言うと、一番、手近の少年のバイクを蹴り倒し、突然、その場を走り去った。

「待てっ! このやろうっ!」

タイタンのスティッカーを貼ったバイクが一斉に、ピンクのバイクの後を追う。

裕貴は器用に人混みを掻き分け、脇道へ逸れた。

ピンクのバイクとそれに跨る金色の小柄な人影を頼りに、車道とは名ばかりの細い脇道が入り組んでいる場所を、タイタンのバイクが走り抜ける。

いつの間にか、さらに細い路地に身を隠していた裕貴は、そこからそれを見送っていた。

脇道へ逸れた裕貴は、そこに待機していた金色の髪の浩輝にちらりと視線を走らせてから、さらに路地に走り込み、その身を隠した。

入れ違いに髪を金色にした浩輝が、裕貴のバイクに似せた盗難バイクで走り出す。裕貴を追いかけてきたタイタンのメンバーは、その入れ替わりに気づかず、そのまま浩輝を追っていった。

「――とりあえず、ここまではうまくいったな」

電車でここまで移動してきて、物陰に潜んでいた一臣が、ふっと息を吐いて裕貴の傍へ出てきた。

「本番はこっからだぜ」

裕貴は、にやりと嗤うと、一臣が差し出したヘルメットを受け取った。

裕貴のバイクに乗り込み、二人は鎌倉街道まで出た。

脇道でヘッドライトを消し、目の前を横切る大通りの様子を伺う。

その前を、普段では考えられないほどの頻度で、オートバイが走り抜けていった。

裕貴はその様子を眺めながら、小さく口笛を吹いた。

「すっげぇ数」

いくら追いかけられているのがすでに自分ではないとはいえ、今、目の前を走り抜けていったバイクは、そのまま裕貴自身の敵となる筈なのに、呑気な様子だ。

そのバイクの群れが途切れ始めたのを確認してから、裕貴は、ポケットから取り出した携帯電話で、電話を掛けた。

「――すげぇ数が追いかけてってるぜ」

にやにやと笑いながら裕貴がそう言う――電話の相手は囮として逃げている浩輝だろう。

「四ツ輪もいる――コケんなよ」

それだけ言うと、裕貴は電話を切った。

「四ツ輪?」

一臣が尋ねると、裕貴は街道に向けて顎をしゃくって見せた。

「バイクに混じって普通の車が走ってるだろ――ありゃタイタンの車だよ」

それから、裕貴はけっと唾を吐いた。

「あんないかにもヤバそうなバイクの集団に混じって走ろうなんていう一般車はいねぇもんな」

浩輝を追いかけていったバイクの大半は、一臣の予想に反して、ヘルメットを被ったごく普通のオートバイだった。それでも、そのスピードは尋常ではない。明らかにスピード違反だ。確かに裕貴の言うとおり、あのスピードで走行する集団バイクとともに並走しようなどという一般人はいないだろう。

「ノーヘルじゃないんだな」

一臣が素朴な疑問を口にすると、裕貴がにやりと笑った。

「言ったろ? タイタンはボーソーゾクじゃねぇ。山本一家直轄の少年ヤクザなんだよ。日頃は勝手気ままに悪さをしてても、上から伝令が降りりゃ、それが最優先だ。ノーヘルの集団走行じゃ、いくら週末の横浜ったって、すぐにオマワリが飛んでくるぜ。そうなりゃ、上から言われたシゴト、 、 、ができねぇだろ?」

だからあいつらは、いつでもメットを持っていて、いざという時は覆面になるのだ、と裕貴は言った。

「だけど、あれだけのスピードで走ってたらそれだけで捕まりそうなもんだけど」

一臣が、さらにそう言うと、裕貴は肩を竦めた。

「ネズミ捕りにでも引っかかりゃ別だけど、週末の深夜の横浜で、ネズミ捕りなんか滅多にいねぇしな。オマワリにしてみりゃ、てめぇの管轄シマで騒ぎを起こさないんだったら、そのままとっととどっかへ走ってってくれってなもんさ」

そう言うと、裕貴は再びバイクのエンジンを掛けた。

「――俺たちも行こうぜ。モタモタしてっと浩輝がキレるぞ」
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