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New Moon

Mid Night ヨコハマー夜明 9

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二人を乗せたバイクは、そのまま繁華街の方へと走り、タイタン幹部の集会場所となっているスナックへと向かった。

一臣の計画では、タイタンの大多数のメンバーを浩輝が囮となって引き摺り回し、手薄になった幹部グループを裕貴と襲うことになっていた。

二百人相手は無理でも、十数人相手なら、火炎瓶とモデルガンでなんとかなるのではないか――

そこから先は裕貴の喧嘩の腕と、一臣の働きに掛かっているが、先日、襲ってきたタイタンのメンバーを返り討ちにしたところを見ても、それに問題はなさそうだ、と一臣は思っていた。

残りのタイタンを引き摺り回している浩輝には、いざとなったら都内まで走って、国会議事堂まで行ってしまえ、と言ってある。

国会前なら深夜でも必ず警察官が駐在している。

浩輝の向かっている先が国会議事堂だと分かれば、さすがにタイタンもそこまで追い詰める気にはならないだろう。

「国会なんて行っちゃったら、俺、強制送還されちゃわない?」

浩輝は、上目遣いに天井を見上げてそう言った。

言っている内容は過激だが、口調は呑気そのものだった。

「途中で、メットかぶれば、捕まりゃしない」

国会議事堂に駐在している警察官は、あくまでも議事堂の護衛だ。議事堂付近を走るオートバイをいちいち捕まえたりはしない。

しかし、それが百名単位の集団となれば、話は別だ。必ず、騒ぎになる。

だから、頭数で勝るタイタンにとっては、そこは脅威であるが、たったひとりの浩輝にとっては、そこは安全地帯となる。

この計画を聞いた時、裕貴は腹を抱えて笑い転げていた。

「すげぇ。オマワリが助っ人かよ」

大笑いしている裕貴の横で、一臣は肩を竦めた。

不良少年の裕貴には思いもよらないのかもしれないが、一臣のような高校生にとっては、警察官というのは敵ではなく、むしろ自分たちの安全を守ってくれる存在という発想の方が、むしろ普通なのだ。

裕貴の言い方を借りれば、オマワリというのは市民の助っ人であって当然なのだ。

こんなアイデアは、きっと裕貴や浩輝には、一生かかっても出てこないだろう、と一臣は、肩を竦めた。

問題は、国会までの距離だ。

横浜から霞ヶ関までは相当な距離がある。そこまで浩輝は保つだろうか。

とはいえ、万が一、湾岸道路で追いつかれても、バイク同士がカーチェイスまがいの走行をしていれば、いずれ警察がやってくるだろう。

未成年の上、無免許運転の浩輝も、警察に捕まることは避けたい事態だろうが、百名の不良に捕まるよりはマシだ。

タイタン幹部の集会所であるスナックの付近で、裕貴とともにバイクを降りた一臣は、正面を見据えたまま、ショルダーバッグの口を開けた。それまで気づかなかったが、掌がじっとりと汗で濡れている。

自分の計画が、実際は穴だらけであることも、運任せであることも分かっていた。

囮の浩輝の身の安全は保障できない。幹部に正面から挑む裕貴にしても、必ず勝機があるとは限らない。しかし、もう事は動き出してしまった。今さら、後には引けない。

一臣は、唇を引き結んで、スナックの入った雑居ビルへと一歩踏み出した――その時、

「行くぞ」

と、裕貴に袖を掴まれた。

自分の後方にいた裕貴に振り返る。

行くのは分かっている、だが、なぜ一臣の歩みを止めるような真似をするのだろう。

「行くって…、こっちだろ?」

一臣が訝しげな声をあげると、裕貴がにやりと嗤った。

「言ったろうが。タイタンだけじゃねぇ、その上の山本一家も引き摺り出してやるってな」

裕貴はそう言うと、再び携帯電話を取り出した。

「よお、もういいぜ。そのままこっちへ戻ってこい――ああ、全員、逃すんじゃねぇぞ」

全員、 、逃さずに戻ってこい、 、 、 、 、 、 、 、 、――?

こいつはなにを言ってるんだ――

一臣は思わず、耳を疑った。

電話の相手は、囮として逃げ回っている浩輝に違いない。

浩輝は、タイタンのメンバーを、できるだけ裕貴たちから引き離すことが役目の筈だ。その浩輝が、追いかけ回しているメンバーを引き連れて戻ってきてしまったら、裕貴は再び、二百人近いタイタンを相手にすることになってしまう。

「なに考えてるんだ?」

一臣が、腕を掴むと、裕貴は瞳に凶悪な光を湛えて、にやにやと嗤った。

「なに考えてるって――? これだよ――っ」

そう言うと、裕貴は雑居ビルに向かって走り出した。手にはいつの間にか火炎瓶を持っている。

裕貴は駆けながら、火炎瓶の口に蓋代わりのように押し込まれていた布切れに、ライターで火を点けた。それを雑居ビルの入り口に放り込む。

突然の行動に、一臣が呆気にとられた次の瞬間、ボンっと低い破裂音が起き、ビルの入り口が炎に包まれた。

裕貴はそれを見て大きな笑い声を立てつつ、さらにもう一本、ビルの壁沿いに駐められていたバイクに向かって火炎瓶を投げた。

あっという間に、バイクも炎に包まれる。

「行くぞっ、乗れっ、一臣っ!」

こちらに駆け戻ってくる裕貴の怒鳴り声に、一臣は反射的にバイクに跨ってエンジンを掛けた。その後ろに裕貴が飛び乗ってくる。
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