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New Moon

Mid Night ヨコハマー夜明 10

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「走れっ」

言われるままに一臣は、エンジンを全開にした。それと同時に、背後から男たちの怒鳴り声が聞こえて来る。

「てめぇっ、裕貴っ!」

「待てっ」

「ばぁか! 待てって言われて待つバカがいるかよっ! とっとと追っかけてこい、ノロマっ!」

なにが起きているのか、裕貴がなにをしたいのか、訳が分からない。

混乱したままハンドルを握る一臣たちの後ろから、バイク音が追いかけてきた。裕貴に燃やされなかったバイクに分乗してきているのだろう。

「おいっ! どこに行けばいいんだよっ!?」

一臣はパニック状態のまま、バイクのアクセルを握り締めた。

「おまえ、バイクの運転もうまいじゃんか」

一臣の体にしがみついたまま、裕貴がけらけらと笑い声をあげた。

「呑気なこと、言ってる場合じゃないっ! 行き先、言えよっ!!」

どこをどう走ればいいのか、どこに行けば、逃げられるのか――

タイタンは、暴走族ではない、と裕貴は言っていたが、マフラーの改造ぐらいはしているのだろうか、異常に大きな排気音が、もう背後に迫っている気がする。

それとも、一臣の恐怖心がその音を増大させて聞こえさせているのかもしれない――

「そこ右っ」

不意に、裕貴が後ろから、バイクのエンジン音に負けない大声でがなった。言われたとおりに曲がる。

「まっすぐ走れっ!突き当たりを左っ」

言われるままに一バイクを走らせることに、一臣は集中した。

もう今さら、なにを考えても仕方がない。

――あいつはなんにも言わないよ。

一臣は、浩輝に言われた言葉を思い出していた。

――あいつはそれでいいんだよ

そうだ――なにを考えているのか、なにが目的なのか、一臣にはまったく分からないが、もう、この少年を信じるしかない。

――そうでなくても、どうせ死ぬだけじゃん

浩輝の言うとおりだ――予定調和で、予想範囲内なだけの人生なら、今、終わってしまっても、同じことだ。

一臣は、突き当たった道路で左に向けてハンドルを切った。

「――止めろ」

耳元で、裕貴の声が聞こえた。

この大音量の排気音の中で、まるで囁き声のような掠れ声だったのに、一臣にははっきり聞こえた。

もう、なぜとも聞かずに、一臣はバイクを止めた。

裕貴は、バイクの後部座席から飛び降りると、ヘルメットを外した。暑苦しいヘルメットの下から、汗に濡れた金色の髪が現れる。

ふたりを追っていたバイクも次々と、停車した。

「…てめぇ…っ」

先頭を走っていた男が、バイクを降りると、怒りに任せて、それを地面に叩きつけた。男が乗っていたバイクが横倒しに倒れる。

「――久しぶりじゃん、渡瀬わたせさん、 、

裕貴は、にやにやと薄ら笑いを浮かべながら男を見た。

この男が渡瀬――タイタンのリーダー。

一臣は、先日、裕貴を襲ってきたタイタンのメンバーの会話を思い出した。

――ぶっ殺しちまえ。渡瀬さんも文句言いやしねぇよ

仁王立ちで、怒りに体を震わせている男は、一臣と同じくらいの身長だった。ただし、その大きさは倍もありそうだ。裕貴と比べれば、一臣の腕は倍の太さだが、こちらはその一臣のさらに倍、という感じである。

本当に鍛えているか、武道かなにかをしているのかもしれない。

「――おまえ…、本気であれ、 、とサシで勝負するつもりだったのか?」

恐怖も忘れて、一臣は思わず溜息を吐いてしまった。

いくら裕貴が喧嘩慣れしているとはいえ、どう計画を練って、一対一になったとしても、子どものような体格の裕貴に勝てるようには見えなかった。

裕貴の華奢な首など、一掴みで締め上げられそうなほど、大きな手と太い腕だ。

「――やっぱ勝てねぇか」

「勝てるわけないだろっ」

呑気に首を竦めた裕貴に、一臣は思わず喚いた。

やっぱりこいつは見かけどおりの、ただの莫迦だ。いや、こんなやつを信用した自分が莫迦だ――

果てしない後悔が、一臣の頭の中を満たした時、大量のバイクの排気音がこちらに向かってきた。
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