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Killer Street

第六章『悪魔の見る夢』2

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「新城さん――このハナシ、聞かなかったことにしといてくんないすか?」

橘はイライラと髪を掻き混ぜた――髪が鬱陶しい。そろそろ切りに行かなくては、と全然、関係のないことが脳裏を過ぎる。

新城は、ふと笑みを浮かべて、ソファから立ち上がった。

橘の傍に立ち、そっと襟足を撫でる。

「男のメンツで死ぬ気か、おまえ?」

「そんなんじゃ…」

そこまで言った橘の唇が、上から落ちてきた新城のそれに塞がれた。

流れ込む甘い唾液に体の芯が痺れていくが、それを冷静に観察している自分を感じた。

「心配すんな、こっちも身銭切るほどお人好しじゃねぇ」

唇を離した新城がにやりと嗤った。

問うように眉をあげてみせると、新城は唇の端で嗤った。

「例の先生、 、だろ? 気の小せぇ野郎だからな。ちょっとユスリをかけたところで、俺を切ろうなんざ大それたことはできやしねぇ」

そう言うと、新城は橘の隣に腰を下ろして、煙草に火を点けた。

「ちょっと脅かしゃ、すぐ吐くさ」

橘は、黙ったまま前を向いていた。

すると、その危惧を察知したかのように、新城が隣から手を伸ばしてきて、橘の頭をぽんぽんと軽く叩いた。

「心配すんなと言ったろ? そんな程度で掌返せるほど根性の入った男じゃねぇ――新城組ウチから手を引いて、他の取引先を探せるほど甘くねぇって、きっちり分からしとくさ」

新城は人の悪い笑みを浮かべて言った。

「新城さん…」

「なんだ、景気の悪いツラだな――まさか殺し屋にビビってんじゃねぇだろ?」

新城の言い草に、橘は吹き出した。

ヤクザだって死にたくないのは一緒だ。ビビっていて当然だが、橘は自分の死については、驚くほど現実感がなかった。

そんなものかもしれない。

誰だって、自分が死ぬことを具体的に想像なんて、できないだろう。

けれど――

笈川が、慧を囮にして、殺し屋を誘き出そうと発案したとき、橘は吐き気がするほどの怒りを覚えた。

笈川に――ではない。

笈川が、誰を犠牲にしようとも、自分の命を守ろうとすることぐらい、橘には分かりきったことだった。

笈川 一臣にとっての自分の価値など知っている――それにつけこんで、橘はここまで来たのだから――

そうではなくて、橘は、慧に対して激しい怒りを感じていたのだ。

自らの命を、平然と投げ出すようなことを、易々と請け負った慧に対して――

てめぇを守る力量もねぇくせしやがって――

慧は非力だ。純粋に力の問題や、喧嘩の強さを問うているわけではない。

そうではなくて――慧は、誰かを蹴落としてでも自分が生き残ろうとする欲の力が弱すぎる。

舎弟の葵が意気込んで、慧を守ると言っていたが、慧のことだ、万が一、殺し屋が命を狙ってきた場合、ボディガードにつけた筈の葵を、身を挺して守ってしまいかねない。

慧はそういう大莫迦野郎だ――

だから、正直な気持ちを言えば、新城の申し出はありがたかった。

高目の兄貴の手を煩わせることにはなってしまうが、殺し屋が慧に近づく前に、反撃に出たい。

「ビビってるわけじゃねぇけど…――ちょっと事情があって…。恩にきます」

橘が殊勝に頭を下げると、新城はふっと優しげな微笑みを向けた。

「おまえに頭下げられるなんて、調子狂うぜ」

新城は、橘を引き寄せると、首筋に吸いついた。

「――ベッドの中でもこのくらい素直だと、助かるがな…?」

「…素直なつもりですけど…? …あ…っ」

橘は、自分の快楽に正直なつもりだ。

少なくとも、自身の欲望を隠そうとしているつもりは、橘にはなかった。

いつの間にかジーンズのジッパーが引き下ろされ、そこに新城の手が忍び込んでいた。

「…んん…っ」

「…ここでいいのか?」

新城が、からかうような表情で橘の顔を覗き込んだ。

「――…っ。…ベッド…、行こうぜ…っ…狭っ苦しいんだよ…ここ…っ」

新城に呼び出されたときから、どうせ抱かれることになると予想していた。

橘は、自分に覆いかぶさるようにしていた新城を押しやると、立ち上がってベッドへ向かった。
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