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Killer Street

第六章『悪魔の見る夢』3

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ホテルを後にした橘が、牛丸と冨樫とともに事務所に戻ると、慧の姿がなかった。

「――慧は?」

「葛西のとこだ」

書類から目を上げずに笈川が答えた。

良く見れば事務所内には、葵の姿も見えなかった――慧について葛西が常駐するサラスヴァティに行っているのだろう。

どうやら、サラスヴァティへの行きがけに、斉藤と名乗る殺し屋は近づいてこなかったようだ。

橘は、定位置のソファに腰を下ろして煙草を咥えた。

先日の話し合いで、慧を泳がせて殺し屋の接近を待とうと決まってから、慧の周囲には、組長の情人イロのお供としての若い衆以外に、常に隠れた監視をつけている――冨樫や剛介ではヤクザ丸出しだという理由で、葛西の手下から、ぱっと見にはゴロツキには見えない舎弟が選ばれた。

慧がサラスヴァティに向かう途中で、斉藤の接触があったならば、隠れて後をつけている舎弟から連絡が入る。

若頭の笈川が、落ち着いた様子で通常業務に没頭しているということは、殺し屋は慧の前には現れなかったということだ。慧は、なにごともなくサラスヴァティのオフィスに辿り着いたのだろう――今日のところは――

橘は、イライラと髪の毛を掻き回した――伸びかけの髪が鬱陶しい。

てめぇの情人を盾にして、生き残ろうとしている――

ヤクザなど外道の下だと分かっているから、今さら自分の命汚なさに驚く気もないが、この状況がいつまで続くのか、と思うと怒りにも似た苛立ちが抑えられなかった。

「牛丸、行くぞ」

唐突に立ち上がって、橘は言った。

「どこに行くんだ?」

今度は書類から顔をあげて、笈川が尋ねた。

「メシ」

橘は、一言、無愛想に答えた。

いちいち、うるせぇ――

いつもならこんなことで腹を立てたりはしない。

どこに行くのか、誰と会うのか――笈川が気にするのは今に始まったことじゃない。

橘にしてみれば、答えたくなければ答えなければいいだけの話だし、そんな橘の気まぐれに笈川も慣れている。

「冨樫――」

「牛丸だけでいい。うっとうしんだよ」

笈川が、ついていけ、と続けるつもりで冨樫を呼んだ声を遮るように、橘は尖った声を出した。

そのまま事務所を出る。

笈川も冨樫も追いかけては来なかった。

常に影のように橘の側から離れることのない牛丸だけが、気配を消したまま後をついてくる。

「――なんか食いたいもん、言えよ」

地下駐車場に向かうエレベーターに乗り込んでから、橘は言った。

「そうですね…、蕎麦でも行きますか?」

牛丸は、橘の不機嫌さにまるで気づいていないかのような調子で答えた。

気づいていないわけはないだろう、と思う。

自分でも、イライラしていることは分かっているのだ。

勘のいい牛丸が気づかないわけはない。

それでも牛丸は、こういう時にこそ目端の利く舎弟だ。いちいち橘の機嫌に配慮して、機嫌を取ったりすることはしない。

だから、橘も、四六時中、自分にくっついている牛丸を疎ましく感じないのだ。

余計なことは喋らず、余計な気も遣わない――
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