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Killer Street

第七章『飢えた体と愛の疵』7

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橘は、頭が痛くなる、と、こうした企業絡みのシノギの細かい事情については、日頃、ほとんど興味を示さず、若頭の笈川に丸投げしている。しかし、広域指定暴力団傘下の組を預かる組長の肩書きは伊達ではない。

取引の詳細は知らずとも、橘も笈川と同じ結論に達したのだろう。

「みなとみらい開発の情報ネタを直接、新城しんじょうさんにタレこんだのは例の議員だが、四友側にも協力者はいたはずだ。俺たちが吊り上げた土地購入資金の半分は四友が被ることになる。当然、四友側にも調整役が必要だからな」

「それがこの兄ちゃんか」

葛西の手から写真を取り上げると、橘は軽く口笛を吹いた。

「いい男じゃんか」

「色気出してる場合か」

「そっちでコマしてネタとりますか?」

笈川がうんざりしたような顔を見せると、葛西がにやにやと笑いながら橘の冗談の尻馬に乗る。

「冗談言ってる場合か」

笈川が呆れたように言った。

「で? このシッポはどこに繋がったんだ?」

橘の問いに、葛西は声を顰めた。

「それが――こっからはちょっとシャレになんねぇ」

「てめぇの下手なシャレなんか聞きたくねぇよ、とっとと吐け」

橘が顔を顰めると、葛西は肩を竦めた。

橘組ウチはネタそのものがガセじゃねぇか、妙なヒモが付いてねぇかは調べましたけどね、本丸の方は気にしなかったでしょ?」

本丸――開発事業の請負先だ。

みなとみらい開発事業はすでに市でも決定した事業で、そこに四友都市開発がデベロッパーとして関わるということも公式発表はされていた。

だから笈川も、開発予定地の情報そのものがガセであるか、音羽会や新城組を嵌めようとする餌ではないか、ということは調べても、四友都市開発の方までは調査しなかった。四友が開発計画に噛んでいるのは、公けの事実だったからだ。

「ウチの上原がやけにそれを気にしてたんでね、殺し屋の方も手詰まりだったんで、まぁちょっと調べてみろやってことになったんですよ。そしたら、この四友のボンボン、甲府にぶどう園持ってやがった」

「ぶどう園?」

笈川の問いに葛西は肩を竦めた。

「甲府ワインですよ。このボンはワインが好きらしくてね、趣味が高じて甲府にぶどう園まで買った――ボンボンの金のかかった道楽でしょ」

「甲府か――」

橘が、『甲府』という地名に敏感に反応した。

「そう――奇遇にも甲府ってのは――菊水一家の本拠地ですよね、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、

山梨菊水一家は、橘たちの大親分である関東音羽会とシノギを削る甲信越地方の大組織だ。音羽会会長の沖賀おきが 隆一郎りゅういちろうと菊水一家会長、伊原いはら 源一げんいちは五分の兄弟盃を交わし、表向き、両組織の間には和平協定が結ばれて入る。

けれど、これがあくまでも表向きの話なのは、渡世人なら誰でも知っていることだ。仁義やメンツで起こる利益リツにならない無駄な争いを避けるために、大親分同士は一応、盃を交わしてはいるが、互いの勢力拡大を狙った小競り合いは今も続いているのが現実だった。

山梨菊水一家は、関東音羽会の最大の兄弟分でもあり、同時に最大の敵対勢力でもあるのだ。

「――この忙しいときに、てめぇ、よくもそんなデカい魚、釣り上げやがったな?」

橘はうんざりしたように溜息を吐いた。

葛西の調べ上げた情報は、まさしくシャレにならない代物だ。

菊水一家は、音羽会と敵対組織ではあるが、表立った抗争マチガイが御法度であることに変わりはない。

しかし、音羽会傘下である橘組の組長の命を狙った暗殺計画に、菊水一家が絡んでいたとしたら、橘組も見過ごすわけにはいかない。

しかしこの関東で、広域指定暴力団同士が真っ向から、血で血を洗う縄張り争いなど起こしては、音羽会そのものが警察の餌食になってしまう。

「――葛西、裏は確かなのか? 間違ってました、じゃ済まないぞ」

笈川が唸るように言うと、葛西は片眉をあげた。

「――お坊ちゃんは開発用地買い上げの忙しい最中、やけに頻繁に甲府のぶどう園を訪ねてたようで、取り巻きの秘書連中も首を傾げてたらしい」

――なるほど、情報源は高遠の秘書か

笈川は腕を組んで、写真を遠目に眺めた。

「菊水一家の裏は?」

四友の高遠が、甲府に足繁く通っていたことは間違いないようだが、偶然ということも有り得る。

音羽会傘下の橘組が山梨菊水一家にモサをつけて、間違いましたでは済まない。行動を起こす前に、高遠 孝次郎が、はっきりと菊水一家に繋がっているという証拠が欲しかった。

慎重になりすぎる、ということはない。

「その裏を今、上原が」

笈川の問いかけに、葛西は短く答えた。

「もし菊水一家が噛んでるとすりゃ、こりゃ思ったよりデカい絵図になるぞ」

面倒なことになってきたな、と吐き捨てるように笈川が言うと、橘は肩を竦めた。

「そうとは限らねぇさ」
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