FC2ブログ

スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←第二章『暗くなるまで待って』 12 →第二章『暗くなるまで待って』 14
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



もくじ  3kaku_s_L.png ごあいさつ
もくじ  3kaku_s_L.png Morning Moon
もくじ  3kaku_s_L.png TOXIC
もくじ  3kaku_s_L.png BROTHER
もくじ  3kaku_s_L.png DIRTY SITUATION
もくじ  3kaku_s_L.png Killer Street
もくじ  3kaku_s_L.png Tattoo Maniac
総もくじ  3kaku_s_L.png New Moon
総もくじ  3kaku_s_L.png Crescent Moon
もくじ  3kaku_s_L.png 武牧
【第二章『暗くなるまで待って』 12】へ  【第二章『暗くなるまで待って』 14】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「New Moon」
大阪 Baby Blues

第二章『暗くなるまで待って』 13

 ←第二章『暗くなるまで待って』 12 →第二章『暗くなるまで待って』 14


「ヤクザなんぞになってまうようなガキの家庭環境なんて皆、似たようなもんや。どいつもどっか寂しいんや。そういうガキをあいつは手なずける。誰でも、必要とされたいとか、頼りにされたいとかあるやんか。あいつはそういうガキの気持ちにつけ入るんや。おまえはできる、頼りにしてんで、ってな」

これまでどこに行っても役立たずとつまはじきにされてきたガキにはてきめん、 、 、 、だ、と磯村は言った。

「亮も手塚もあいつの手下になってから、内藤に心酔してもうてるわ。あいつら、内藤に死ね、言われたら喜んで死ぬで…あんな、人生始まってもいないようなガキどもやのに…」

そう言うと、磯村はふっと下を向いた。

「もう何人も死んでんねん…。そりゃ内藤はたいした男や。このマチガイの戦果はほとんどあいつが出してるようなもんやしな。でも当たり前やで。あいつの周りは鉄砲玉で死んでもいいってガキどもだらけやからな」

いくらでもリスクの高い作戦を実行できる、と磯村は嫌悪感を露わにした。

なるほど。内藤 啓介という男は少年たちの心を巧みに掌握して、自分の意のままに操るのがうまいということか。裕貴とともにここを訪れていた沼田組組員の亮と手塚の内藤に対する心酔しきった態度を思い出して、一臣は納得した。

しかし、よく分からないのはあの舎弟の言ったハーレムという言葉だ。

「…ハーレムってどういうことですか?」

一臣の問いに、磯村はうんざりした表情を見せた。

「それや、それがホラやって言うてんねん。たしかにあいつは人を操るのはうまいけどな、体でタラシこむようなことはせぇへんわ。そんな必要ないねん、あいつには」

そんなことしなくても、あいつは口先だけでいくらでガキどもを死地に追いやれる、と磯村は眉を顰めた。

「どうしてそんな噂が…。だって男同士でしょう?」

一臣が訝しげに苦笑い混じりに言うと、磯村がちらりと一臣を見た。

「そうなんやけど…、内藤は両刀やって公言してるからな」

「それって…」

「あいつは男もイケるらしいで、知らんけど」

そう言うと、磯村は肩を竦めた。

「まぁ、俺も実際…、あいつがそういう男と歩いてんの見たことあるしな…」

そう言った磯村は少し気まずそうだった。

内藤に纏わる噂のすべてを否定しきれないからだろう。

磯村の話は一臣の不安をますます大きくさせた。

非行に走る少年たちの寂しさにつけ込んで、自分の意のままに操る――そんな男の下にいて、裕貴は大丈夫なのだろうか。

バイセクシャルだという嗜好も気になる。

裕貴がなにも知らなければ、警戒もしないに違いない。

まぁ、裕貴のことだから、嫌だとなれば相手を殺すぐらいの勢いで抵抗するだろうけど――

それよりもまるでマインドコントロールのような内藤の手口の方が、一臣にはよほど気になった。

一臣は、先ほど訪れた裕貴の様子を必死に思い起こそうとした。

一臣を見て、再会を喜んでいた。いつものように一臣のインテリぶりを揶揄していた。横尾親分の刺青を見て、素直にはしゃいでいた。

内藤 啓介に対してはどうだっただろう。裕貴は、亮や手塚ほど内藤を崇めてはいないように見えたけれど。

裕貴が内藤の下へ赴いてまだ数日だ。

なにも――変わったところはなかった、筈だ。

一臣の思考を破るように、磯村が再び口を開いた。

「内藤はもともと先代の真島親分が連れてきたんや。真島親分の直盃で、あいつは山内組で漢を売っとんねん。せやけどあいつは組持つんでもないし、舎弟を抱えるんでもない。その辺、フラついてるガキの寄せ集めを使い捨てしとるだけや」

「そんなんじゃあ、ろくなシノギにもならないんじゃないですか?」

一臣の問いに磯村は吐き捨てるように言った。

「さっきの鞄、見たやろ。あいつはホンマにたいした極道やねん。使い捨てのガキどもでも、あいつが使うとなれば、とんでもない利益リツ出してきよる。反吐が出るような外道やけど…山内組にとっては切るに切れん男やねん」

内藤 啓介――

派手で軽薄なアロハシャツとハーフパンツにサンダル履きの安っぽい身姿と、トレードマークのようなパナマ帽――初めて渡会組で会った時の印象も同じようなものだった。

たしかあの時も、渡会組若頭の橋本は、内藤に裕貴を任せることにいい顔をしていなかった。皆、知っているのだ。内藤が危険な男であるということを。

裕貴は大丈夫なのだろうか――

一臣は、内藤と共に去っていった裕貴の華奢な後ろ姿を思った。
関連記事
スポンサーサイト



 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png New Moon
総もくじ 3kaku_s_L.png Crescent Moon
もくじ  3kaku_s_L.png ごあいさつ
もくじ  3kaku_s_L.png Morning Moon
もくじ  3kaku_s_L.png TOXIC
もくじ  3kaku_s_L.png BROTHER
もくじ  3kaku_s_L.png DIRTY SITUATION
もくじ  3kaku_s_L.png Killer Street
もくじ  3kaku_s_L.png Tattoo Maniac
総もくじ  3kaku_s_L.png New Moon
総もくじ  3kaku_s_L.png Crescent Moon
もくじ  3kaku_s_L.png 武牧
【第二章『暗くなるまで待って』 12】へ  【第二章『暗くなるまで待って』 14】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。
  • 【第二章『暗くなるまで待って』 12】へ
  • 【第二章『暗くなるまで待って』 14】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。