FC2ブログ

スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←関西地方の皆さまへお見舞い申し上げます →第三章『小さな恋のメロディ』2
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



もくじ  3kaku_s_L.png ごあいさつ
もくじ  3kaku_s_L.png Morning Moon
もくじ  3kaku_s_L.png TOXIC
もくじ  3kaku_s_L.png BROTHER
もくじ  3kaku_s_L.png DIRTY SITUATION
もくじ  3kaku_s_L.png Killer Street
もくじ  3kaku_s_L.png Tattoo Maniac
総もくじ  3kaku_s_L.png New Moon
総もくじ  3kaku_s_L.png Crescent Moon
もくじ  3kaku_s_L.png 武牧
【関西地方の皆さまへお見舞い申し上げます】へ  【第三章『小さな恋のメロディ』2】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「New Moon」
大阪 Baby Blues

第三章『小さな恋のメロディ』1

 ←関西地方の皆さまへお見舞い申し上げます →第三章『小さな恋のメロディ』2


次の日、内藤ないとう裕貴ゆうきを連れて、あの観覧車のある海傍の公園近くの水族館にやってきた。家族連れやカップルしかいないような場所に一体なんの用があるのか、裕貴は首を傾げた。まさか家族サービス中の篠田側の組員に奇襲を仕掛けようと思っているわけではないだろう。

そう尋ねると、内藤はきょとんとした顔で裕貴を見た。

「なに言うてんねん。今日、おまえの誕生日やろ?」

「誕生日…――」

すっかり忘れていた。ここ数年、誕生日なんて仲間と大騒ぎをするための口実か、哥兄あにぃたちにたかる言い訳くらいの意味しかなかった。

そういえば内藤に初めて会った日に、来週、誕生日だと言うと、いつだ、いつだとしつこく問いただされたのだった。

「そんで水族館ですか?」

裕貴が半ば飽きれぎみに言うと、内藤はにこにこ笑った。

「せやかておまえ、横浜出身なんやろ? 横浜と言えば、海やっ!」

「はぁ…」

だから水族館? 魚繋がりってこと?

おっさんの思考回路って分っかんねぇなー…――

そうは思っても、もちろん哥兄の内藤にそんなことを言うわけにはいかない。

それに祝ってやる、とまたキャバクラなんぞに連れ出されるくらいなら、水族館の方がまだマシだ。

そう思いながら、水槽で器用に作られたトンネルの中をはしゃいで通り抜ける内藤の後を裕貴も追った。

イルカだのクジラだの巨大なエイなどを見て、子どものように嬌声をあげている内藤と色とりどりの魚を見て回るうちに、裕貴もなんだか楽しくなってきてしまった。

最後に土産物を売っている店で、誕生日プレゼントだと言って、内藤は裕貴にエイのぬいぐるみを買ってくれた。

これはいらない…――

水族館を出てから、ふたりは近くの串カツの店に来た。

内藤はへらへら笑いながら、ソースは二度づけ禁止やで、とつまらない冗談を飛ばしたが、あまりにも莫迦莫迦しくて、逆に裕貴は吹き出してしまった。なんだか悔しい。

ビールを注文して、誕生日おめでとう、とデカい声をあげられて裕貴は慌てたが、周囲の他の客たちも大きな声で話しているので、それほど目立たなかったようだ。

「あー、食った食った」

おっさんくさく腹をさすりながら、サンダルをペタペタと引き摺って帰り道を歩いていた内藤は、コンビニの前で立ち止まった。

「あ、誕生日ケーキ忘れたな」

「え、いらねぇ…」

もう腹が苦しくてケーキなんて食えない。

しかし、内藤はええからええから、と裕貴の手を引っ張ってコンビニに入って行った。

「ただいま〜」

内藤は陽気な声をあげながら、誰もいないアパートのドアを開けた。

「裕貴、裕貴」

すぐさま卓袱台の上に、先ほどコンビニで購入したケーキを出した。小さなロウソクを立てると、ポケットをごそごそ探って見つけたライターで火を点ける。

「マジかよ…」

早く早く、と手招きする内藤に半ば飽きれ気味に、裕貴は卓袱台の前に座った。

「ほらほら、吹いて吹いて」

裕貴は少しためらってから、ロウソクを吹き消した。

「おお〜、誕生日おめでとうっ、裕貴くん」

内藤がぱちぱちと手を叩いた。

もう、哥兄への礼儀も忘れ、裕貴はありがとうと言う気も失せていた。

恥ずかしいヤツ――

これではまるで子どものお誕生会だ。

溜息を吐いて内藤を見ると、思いがけず優しい笑顔を向けられた。

「――ハタチまで生きてたやん、裕貴」

心臓が、間違えて一拍早く打ったかと思った。

「…うん」

小さく頷くと、内藤が近づく気配がした。分かっていて、裕貴は逃げなかった。

軽く上を向かされた顔に、内藤が近づく。唇が重なる瞬間、裕貴は目を閉じていた。

唇が離れた後も、内藤は裕貴の体を離さなかった。そのまま首筋を辿り、裕貴の体を畳の上に横たえる。裕貴ももう抗わなかった。

内藤の手がTシャツの下に入り込み、体を撫でる。思わず声が出そうになって、裕貴は唇を噛んだ。

「…っ」

内藤の手がパンツに掛かり、裕貴は慌てて上半身を起こした。

「ま、待って…」

「なんや、またかいな」

内藤が飽きれた様子で言った。

「ち、違う…。そうじゃなくて、シャワー浴びてくる…から…」

そう言った瞬間、裕貴の顔は真っ紅になった。
関連記事
スポンサーサイト



 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png New Moon
総もくじ 3kaku_s_L.png Crescent Moon
もくじ  3kaku_s_L.png ごあいさつ
もくじ  3kaku_s_L.png Morning Moon
もくじ  3kaku_s_L.png TOXIC
もくじ  3kaku_s_L.png BROTHER
もくじ  3kaku_s_L.png DIRTY SITUATION
もくじ  3kaku_s_L.png Killer Street
もくじ  3kaku_s_L.png Tattoo Maniac
総もくじ  3kaku_s_L.png New Moon
総もくじ  3kaku_s_L.png Crescent Moon
もくじ  3kaku_s_L.png 武牧
【関西地方の皆さまへお見舞い申し上げます】へ  【第三章『小さな恋のメロディ』2】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。
  • 【関西地方の皆さまへお見舞い申し上げます】へ
  • 【第三章『小さな恋のメロディ』2】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。