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「New Moon」
大阪 Baby Blues

最終章『許されざる者』2

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*********

内藤が前田を介した手打ちの話を持ち込んできた日から、一臣かずおみは奇妙に混乱していた。

ついぼんやりとしてしまう一臣を、最初はどやしていた磯村いそむらも、しまいには腹の具合でも悪いのか、と心配し始めたほどだ。

裕貴と内藤の関係を知ったからだろうか――

そうも思ったが、それだけじゃないな、とすぐに考え直した。

まったく動揺がないと言えば嘘になるが、それよりも篠田しのだの右腕だった塚原つかはら殺しの話をしていた時の裕貴の態度の方が気になった。

裕貴はなにかを隠している――

もちろん裕貴が、一臣になにもかも打ち明ける必要なんかないが、一体、あの時の話のなにがそんなに引っかかってるのだろうか。

あの時、裕貴はなにを言ったっけ――

――横尾よこお親分の手下てかの手柄は全部、親分に逆目に出てんじゃんか

抗争の発端となった篠田の若頭補佐殺しは、篠田が反旗を掲げる言い訳になった――

真島まじまの遺言に忠実だった小林組の若頭が死んだことで、横尾は小林組を失った――

動いているのは決まって横尾方こちら側なのに、それはすべて篠田の利になっている――

「磯村さんっ」

一臣は、仕事途中の磯村を事務所の小部屋に引っ張って行った。

常日頃、物静かで礼儀正しい一臣の豹変ぶりに、磯村はどないしたんや、と慌てた。

「磯村さん」

部屋に入って磯村を椅子に座らせると、一臣は切り出した。

「このマチガイの話…もう一度、確認したいことがあります」

「なんやねんな」

「手打ちは最初から決まっていた、磯村さんはこの間、そう言いましたよね? 横尾さんの跡目は真島親分の遺言で、九州、四国の親分さんの委任もある正式なものだから、このマチガイの結論は最初からそれしかなかった。…そうですよね?」

「そうや、結局はそれ以外、あり得へんからな。横尾さんを跡目にっちゅう真島親分の遺言に逆らうっちゅうんは、西の親分衆、ひいては親分の手下の極道全員敵に回すようなもんや」

「それでも篠田さんはそれに逆らったんでしょう?」

「まぁな」

「手打ちになったら篠田さんはどうなるんですか?」

「どうって…」

一臣の問いに磯村は、少し考えてから言った。

「まぁ…、ただでは済まへんな。仮にも渡世の親の遺言に逆らって、謀反を起こしたようなもんや。立場が先代の若頭やから、正面切って破門ちゅうわけにはいかへんやろが、ま、漢を見せろっちゅうことにはなるやろな」

「自分から身を引け…ということですか?」

磯村は頷いた。それはただ言い渡されないというだけで、極道の名を返上しろということだから、事実上の破門だ。

それはおそらく篠田だけではなく、篠田側についた大物は皆、同じような処分になるだろう。

「それなら手打ちは、篠田さんにはなんの利益リツにもなりませんよね?」

一臣にそう言われて、磯村は顔をあげて、再び考えるような表情をみせた。

「せやけど…それ以外に始末のつけようがないやんけ…。山内組全員でどっちかが皆殺しになるまでやり合うんか? ヤクザ映画やないで?」

「でもそれは…横尾方こっちの言い分…、いや、こっちの見方なんですよ」

「どういう意味や」

勧められてもいないのに、一臣は磯村の正面に椅子を持ってきて、それに腰をおろした。礼儀知らずな行動もいいところだが、頭がいっぱいでそれに気づかない。磯村も気にしていないようだ。

「篠田陣営にとっては、手打ちも全滅も結果は同じなんです。真島親分さんの遺言に逆らうと決めたときから、それは分かっていた筈です。篠田さんの頭には最初ハナから手打ちなんて筋書きはない」

「死ぬまでやる気やっちゅうんかい」

一臣は首を振った。

「もしも篠田さんが跡目を継ぐことを大阪の親分衆が承諾したらどうです? 全員でなくても大半…、いや主要な親分衆だけでも取り込めたら…。地元の親分たちの意向を無視してまで、九州や四国が先代の遺言をゴリ押しするでしょうか?」

一臣の言葉に、磯村は真剣に考え込むような表情を見せた。

「そりゃあ…おまえ…。そうなれば…、四国や九州としかるべき会合を設けてやな…。――まぁ…、大阪じもとの親分衆が集まってそう決めたとなれば…――」

そこまで言って、磯村ははっと顔をあげた。
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