FC2ブログ

スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←最終章『許されざる者』5 →最終章『許されざる者』7
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



もくじ  3kaku_s_L.png ごあいさつ
もくじ  3kaku_s_L.png Morning Moon
もくじ  3kaku_s_L.png TOXIC
もくじ  3kaku_s_L.png BROTHER
もくじ  3kaku_s_L.png DIRTY SITUATION
もくじ  3kaku_s_L.png Killer Street
もくじ  3kaku_s_L.png Tattoo Maniac
総もくじ  3kaku_s_L.png New Moon
総もくじ  3kaku_s_L.png Crescent Moon
【最終章『許されざる者』5】へ  【最終章『許されざる者』7】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「New Moon」
大阪 Baby Blues

最終章『許されざる者』6

 ←最終章『許されざる者』5 →最終章『許されざる者』7
**********

陽が沈んで、安アパートの窓の外に闇が拡がった。

大阪に来てから、もうどれくらい経ったっけ…――裕貴は隣との境の味気ないコンリートの壁しか見えない窓の外をぼんやりと眺めて思った。

何度、このアパートで夜を迎えたのだろう。


下町にある狭いアパートはエアコンなど名ばかりで、ちっとも涼しくならない。陽が落ちても、部屋の空気は淀んで、ねっとりと熱気を帯びていた。

和室にぶら下がった頼りない蛍光灯の下で、内藤が拳銃の手入れをしている。今夜も出掛けるんだろう。

「裕貴」

窓辺に立っていた裕貴は、呼ばれて振り向いた。

「チャカあるか?」

裕貴は頷いた。

持っている。内藤がくれた拳銃だ。あの日、ホテルの化粧室で、初仕事を成し遂げた拳銃――

貸してみろ、と言われて、裕貴は内藤に拳銃を渡した。内藤は裕貴の拳銃も自分のものと同じように手入れをした。

「――行こうか、裕貴」

拳銃を返して、内藤はそう言った。

どこへとも聞かず、玄関に向かう内藤を追った裕貴は、台所で立ち止まった。

「――待てよ」

狭い三和土で靴を履きかけていた内藤が振り返った。

「どうした?」

「――抱いてよ…」

内藤が片眉をあげて、裕貴の唐突な要求の真意を問うように見返してくる。

「抱いてくれよ…、もう一回…――」

このドアを開ける前にもう一度――

この部屋を後にする前に――


「これから出掛けるんやで?」

裕貴は黙って内藤を見つめた。

内藤はふっと笑顔になって、裕貴の元へ戻ってきた。

「啓介さん…」

その胸元にそっと手を当てて、そのまま滑らせるように首に腕を回した。

立ったまま、内藤は裕貴を抱き締めた。

目を閉じて、首筋に顔を埋めて、内藤の匂いを吸い込む。

裕貴…、と耳許で囁かれた。

唇が出会って、互いの舌が絡んだ。

初めて内藤にくちづけをされたのは、裕貴が塚原を殺した日だった。

初めてのくちづけは、裕貴の血塗れの両手とともにあった。

初めてこの手で、人の命を奪った。

――撃て…、裕貴

あの声に、裕貴は引鉄ひきがねを引かれた。

裕貴が引鉄を引いたんじゃない。

内藤 啓介が裕貴のおとこの引鉄を引いたのだ。

内藤に出会って、裕貴は漢になった。

その身も心も、裕貴は内藤の手によって漢にされた――

内藤に体を返されて、そのまま壁に押しつけられる。

いっそ乱暴ともいえる仕草で、内藤は裕貴のハーフパンツを引き摺り下ろした。

後ろから片足を抱えられて開かれた体が、内藤の熱で引き裂かれる。

「ああ…っ」

「裕貴…っ」

背後から突きあげられるたびに、快感と激しい衝動が裕貴の体を駆け巡る。

出掛けるつもりで消灯された暗い部屋に、視線が彷徨った。

そっと瞳を閉じる。

耳許に熱い吐息が落とされた。

この吐息は本物だ――

この抱き合う体――

裕貴の体を引き裂く熱だけは――

内藤の手が裕貴の雄をまさぐる。その手で強く握られて、裕貴は体を震わせた。

「あ…あ…っ、啓介さ…ん…っ」

後ろから寄せられた頰に手を添えた。

汗ばんだ肌が吸いつく。

このまま世界が終わってしまえばいい――

このまま時間が止まってしまえばいい――

内藤に貫かれた体のままで――

いっそこの瞬間、篠田の刺客が飛び込んできて、ふたりを同時に撃ち抜いてくれればいいのに、と思う。

この瞬間に死ねたら――

内藤とひとつになっている今に――

死んでしまえたら――

もうなにも――いらない――

**********

暗闇でライターが光って、裕貴は目を開けた。

あの後、結局、和室に引き戻されて、再び内藤に抱かれた。

裕貴は体を起こして辺りを見回した。

部屋の暗さのせいか、あちこちに飛ばされた服が見当たらない。

煙草の在り処も分からず、仕方がないので内藤の方に手を伸ばした。

「――なんや、目ぇ覚めたか」

「出掛けるんだろ?」

内藤の手から残り少ない煙草を取り上げて、火を点けた。

「もう行かなな…」

部屋の暗さに目が慣れたのか、内藤のシルエットが浮かんだ。

内藤は影のまま立ち上がった。

「――おまえも…来るか?」

なぜ――それを聞く――

「なんだよ…、俺も連れて行くつもりだったんじゃねぇの?」

わざと軽口を叩くと、闇から内藤の忍笑いが漂ってきた。

「…うん、まぁな」

シルエットが帽子を被った。

「亮たちとツナギ取って一緒に連れて来い」

「どこへ…行けばいい?」

「天保山や」

内藤は影のまま、部屋を出て行った。

関連記事
スポンサーサイト



 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png New Moon
総もくじ 3kaku_s_L.png Crescent Moon
もくじ  3kaku_s_L.png ごあいさつ
もくじ  3kaku_s_L.png Morning Moon
もくじ  3kaku_s_L.png TOXIC
もくじ  3kaku_s_L.png BROTHER
もくじ  3kaku_s_L.png DIRTY SITUATION
もくじ  3kaku_s_L.png Killer Street
もくじ  3kaku_s_L.png Tattoo Maniac
総もくじ  3kaku_s_L.png New Moon
総もくじ  3kaku_s_L.png Crescent Moon
【最終章『許されざる者』5】へ  【最終章『許されざる者』7】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。
  • 【最終章『許されざる者』5】へ
  • 【最終章『許されざる者』7】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。