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Tattoo Maniac

第一章『悪魔の恋』10

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**********

橘には、三崎の男、中島 誠が殺されるような心当たりはなかった。あの晩も中島はなにも言ってはいなかったし、なにか面倒なことに捲きこまれている様子もなかった。

ただ、ひとつ気になることはある。

「――一臣、おまえ、柳沢組の中島 誠の名前に聞き覚えはあるか?」

「名前だけなら知ってるぞ。柳沢組では若頭の向井さんに次ぐナンバー3だと聞くからな」

「それ以外の噂は?」

橘の問いに笈川は少し考えるような顔をしたが、首を横に振った。

「葛西、おまえはどうだ?」

「俺も噂は良く知ってましたよ。ヤクザとして売り出したのも同じ頃だし、三崎は横浜の目と鼻の先だから」

橘も、中島 誠の名前を聞き知っていたことに後で気づいた。中島は、橘が横浜で組を構える親分だからと礼を尽くしてくれていたが、三崎ではかなりの大物の渡世人だ。

「で? 誰かあいつが男好きだ、 、 、 、って聞いたことはあったかよ?」

そう問うと、その場にいた全員が一体、なにを言い出すんだ、という表情を見せた。

中島あいつは俺が男もイケることを知ってたようだぜ? 噂になってるってよ」

そう言ってにやりと笑うと、笈川が溜息を吐いて、葛西が吹き出した。慧は顔を真っ紅にしている。

「まぁ、そんなヤツはゴロツキには珍しいからな」

そう言った笈川がなにかに気づいたように橘を見た。

笈川は莫迦ではないから、橘が考えていることに気づいたのだろう。

「そうか…。皆の前で堂々と、 、 、 、 、 、 、初対面のおまえを誘うような男なのに、それ、 、が噂にはなってないのか…」

「なるほど」

葛西も笈川の言わんとすることが分かったらしい。慧だけが、まだきょとんとしている。

「あの…、それがなにか…?」

慧がおずおずと尋ねた。

「おまえは裕貴に慣らされてるんだろうがな、こっちの世界だって男と男が…なんてのはかなり珍しい話だ」

笈川が慧に説明してやる。

「まぁ…単純で流されやすい莫迦ばっかりだから、こっそり一回くらい試したことあるなんてヤツは意外といるかもしれねぇがね」

葛西が混ぜっ返すと、笈川がそれを横目で睨んだ。高目の哥兄に睨みつけられても、葛西は悪びれずに慧に向かって舌を出してみせている。

「葛西たちの目の前で裕貴を誘うなんて、まるでそっちの趣味を隠していないようなのに、噂になっていない…」

「橘さんの方はきっちり三崎まで噂が届いてるみたいなのにねぇ」

葛西が相変わらず、にやにやと笑う。

「だとしたら裕貴を誘ったのは、中島 誠らしからぬ、 、 、 、 、行動だったのかもな」

「なにか…、別の目的があったのかもしれないですね」

そのにやついた顔のまま葛西が言った。

橘を誘った別の目的――

なにかを臭わされた覚えはない。それならそうと分かる。

なにかを渡された覚えもなかった。あとはなにか、それとは知らずに仕込まれたか――

橘はカバンの類を持ち歩かない。必要なのは財布と鍵と煙草くらいだ。それらはいつも、パンツかジャケットのポケットに押し込んである。

「慧、あの日、俺が着てた服になんか入ってたか?」

常からその辺に服を脱ぎ散らかす癖のある橘の後を追っかけて、それを拾い集めているのは慧だ。

「おとといのロゼから、おまえが帰ってきたの昨日やろ? いや…、ポケットの中も見たけど、財布と鍵とタバコしか入ってへんかったで」

慧は自分の行動を思い出すように、上目遣いで天井を睨みながら答えた。

「ポケットん中まで調べてんのかよ。てめぇ、嫉妬深い女房バシタか」

橘は舌打ちをして悪態を吐いたが、今は慧のそんな習慣に助けられていることを思い出した。

「裕貴、今ここに財布と鍵は持ってるか?」

笈川に言われて、橘はパンツのポケットから財布と鍵の束を引っ張り出した。笈川が財布を手に取って中を調べる。

ソファテーブルの上に放り出された鍵束を、慧がじっと見つめて言った。

「あれ? おまえこんなキーホルダー持ってたか?」

慧は、黒い小さな長方形の金属製の飾りがついたキーホルダーを、指先で鍵の中から引き摺り出した。

「これUSBじゃん」

後ろから覗き込んでいた葵が呟いた。
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