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Tattoo Maniac

第二章『死体置場でロマンスを』8

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「――おまえ…、裕貴から内藤の話を聞いたことはないか?」

「内藤?」

葛西は意外そうな顔をした。

「内藤って…――、あの内藤 啓介ですか?」

そう言うと、葛西は複雑そうな表情を浮かべた。

「――そりゃあ…、随分と懐かしい名前…ってこともねぇのか、橘組ウチはほんの少し前に、あの野郎にエラい目に遭わされてますからねぇ」

同門の寺島組との相討ちを装って、音羽会全体を警察に引っ張らせようとした内藤の大絵図では橘組の組員も何人かその命を獲られている。それは葛西の記憶にも新しい。

「でも、あんたの言うのは十年前に…ってことですよね?」

葛西は思い出そうとするように、顎を撫でて空を見つめた。

「…やっぱり十年前、大阪で橘組ウチの親爺さんはあの外道と訳アリだったんですね」

「なにか知ってるのか?」

笈川が鋭い声を出すと、葛西は降参するように両手をあげた。

「あんたの期待を裏切るようで申し訳ないが、俺はなにも聞いちゃいません…橘さん本人からはね、 、 、 、 、 、 、 、 、

そう言うと、葛西は煙草を取り出して、笈川の前に掲げて見せた。高目の笈川の前で吸ってもいいかと聞いているのだ。遠慮するな、と笈川が答えると、葛西は一礼してから煙草に火を点けた。

橘が組を開くことになった四年前まで、葛西 哲也は笈川たちにとっては哥兄の立場だった。それにも関わらず、橘の盃を受けてから葛西は、一度も組長の橘にも若頭の笈川にも礼を失したことはない。盃を受けた直後から、葛西はふたりを高目と扱うようになった。

葛西は、煙草を一服ふかしてから言った。

「――俺はあの頃、森の親爺さんの金庫番でしたからね。まぁ、金の集まるところには情報も集まってくるってもんです」

それはあんたも承知のとおりですよ、と葛西はにやりと笑った。肩書きは若頭だが、橘組が扱う金融関係の仕事は、ほとんど笈川が仕切っているからだ。葛西はその笈川の片腕として良く働いてくれている。

「あの大阪抗争の前から内藤 啓介ってのは、ちょっと知られた男でね。まぁ、ゴロツキの知られた名前ですから、当然、いい噂じゃねぇ。渡世人としてはたいした男らしいが、関西には相当な外道がいるって話は横浜こっちにも流れてきてました」

笈川は黙って腕を組んだまま、葛西の話に耳を傾けていた。

「特にあの頃は音羽会こっちも、沖賀の親爺さんが腕貸しを送る腹づもりじゃねぇかって、大阪の情報を集めてましたからね。その中に内藤の野郎の話はひとつやふたつじゃなく入ってきてました。その武勇伝の中に、胸くその悪くなるような噂もちらほらね…」

笈川が目をあげると、葛西は肩を竦めた。

「このあたりの話はあんたも知ってると思いますよ。あの野郎はガキを喰い物にしてのしあがったってね」

そう言うと、葛西はふんと鼻を鳴らした。

「あの頃は新城さんが橘さんに相当、目を掛けてましたからね。あんたたちは秋津あきつから盃を受けてはいましたが、森組でもあんたたちのことは別口で追っかけてたんだ」

新城さんは橘さんのことが心配だったんですよ、と葛西は笑った。

そういえば当時は新城とも五分兄弟であった葛西は、橘を親爺と呼ぶようになってから、その兄貴分だからと、新城のこともけっして呼び捨てにするようなことはなくなった。軽くなんでも冗談にしてしまう葛西だが、そういうところのけじめはある男なのだ。

「だから俺も新城さんも、橘さんがあの外道の下についてることは知ってはいたんですよ」

葛西は短くなった煙草を灰皿に押しつけて、すぐに二本目に火を点けた。よほど煙草に飢えていたらしい。

「あれが命がけの負け戦だったことは最初ハナから分かってたんでね、大阪からあんたたちふたりが生きて帰ってきたことは良かったですが…、帰ってきた橘さんは明らかに様子がおかしかったでしょう?」

それはあんたも知っているでしょうが、と葛西は器用に片眉をあげてみせた。

もちろん知っている。葛西は、橘が手当たり次第に、男も女もベッドに引っ張り込んでいたことを言っているのだ。

「まぁ、橘さんに口説かれて乗っかっちまったこっちも悪いんですがね」

そう言って葛西はへへっと笑うと、俺も若かったもんでね、と悪びれなく言った。

「あとで新城さんともデキてるって気づいて、いい野郎ふたりがガキに転がされてんのかって頭抱えちまいましたよ」

それでも新城も葛西も、すぐには橘との関係を切らなかった。新城に至っては今もその関係は続いている。
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