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Tattoo Maniac

第二章『死体置場でロマンスを』12

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トイレに立つふりをして橘は、精進落としの席を離れた。宴席の大広間から出ると、縁側に面した廊下の隅の方で、白川しらかわ 武尊たけるが所在無さげにぼんやりと立っているのが見えた。

「おい」

白川 武尊に近づいて、橘は声を掛けた。

「あ…、橘…さん…」

武尊は慌てて頭をさげた。

「俺の部屋に来いよ」

橘は武尊に体を寄せるなり耳許で囁いた。途端に武尊の首筋が朱に染まる。

先ほどの精進落としの席で酌に回って来た白川 武尊が橘に謎をかけて誘っていたのは分かっている。武尊も橘がそれを察知したことは承知しているだろう。

顔を紅くしたまま橘を見つめていた武尊はそのまま、はい、と頷いた。

柳沢組が用意した部屋はふた部屋続きの和室だった。本当に金が掛かっている。

橘は手前の座敷に置かれた大きな座卓の前に置かれた座椅子にスーツの上着を放って、ネクタイをむしりとった。日頃、着慣れないせいなのか、ネクタイだけは本当にイライラする。

椅子に座って煙草に火を点けてからふと顔をあげると、武尊がまだ突っ立っていた。

「座れよ。それとも先にシャワー浴びるか?」

武尊はますます顔を紅くした。

「…お、お茶を煎れます」

部屋に備え付けてあった茶箱の蓋を開ける手が震えている。

下っ端とはいえヤクザのくせに随分と純情ウブな男だな――

とはいえ、高目の組長に部屋に誘われたのだから緊張しても仕方がない、とも思う。橘は煙草を吸って、武尊の煎れた茶を飲んでから立ち上がった。

「じゃ、先にシャワー使うわ」

にやりと笑うと、武尊は正座をしたまま小さく頷いた。

部屋付きも檜造りと豪勢な風呂から出てくると、続き間にさっきはなかった布団が敷かれていた。こんなに緊張している武尊が仲居を呼ぶ筈がないから、きっと本人が敷いたのだろう。照れている割にやる気はあるようだ。

いつもと同じように裸にタオルを捲いただけの橘の姿から視線を逸らしたまま、武尊は逃げるように風呂場に飛び込んだ。

橘が煙草を吸いながら、部屋に備え付けの冷蔵庫を開けるとビールが入っていた。これも柳沢組長の指示で旅館が事前に用意していたものだろう。

ビールを飲みながら煙草を吹かしていると、風呂場から武尊が出てきた。恥じらってはいながらも、武尊もタオル一枚の姿だ。

若いせいか引き締まったいい体をしている。スーツを着ていた時は細身に見えたが、胸の筋肉は鍛えた男のそれだった。

座椅子に座って煙草を吹かしたまま、上から下まで遠慮なく眺めていると、武尊が再び頰を染めて視線を逸らした。

「おまえ、いくつだ?」

「…二十…三です」

若いが経験不足という歳でもない。こんな世界に堕ちてくる若者は大体が早熟なものだし、若いチンピラらしく女を悦ばせる術は心得ているだろう。

まぁ、男の経験はどうだか知らねぇがな――

橘は煙草を消して立ち上がった。布団に入る前にふと思いついて、立ち止まる。

「――おまえ…、どっちがいいんだ?」

「は…?」

武尊はきょとんと橘を見た。

問われている意味が分からないんだろう。

「おまえ、受けか? それともタチ?」

直裁な橘の問いに、武尊は今までにないほど紅くなった。今からそんなに頭に血を昇らせていては、いざ事が始まったら目を回すんじゃないか、と心配になる。

日頃は橘もこんなことは滅多に聞かない。たいていは相手を見ていれば分かるからだ。

けれど、武尊はそのどちらか良く分からなかった。橘はどちらかといえば男には抱かれることを好むが、抱くこともできる。どちらでも構わない。

「――…だ…、抱いても…いいですか…?」

頰を染めて視線を逸らしたまま、武尊は言った。橘はぺろりと唇を舐めてから、武尊に近寄った。

「おまえの好きにしろよ」

首に腕を回して、唇を押しつける。武尊の方が背が高い。慧と同じくらいだな、とぼんやり思った。

舌を挿し入れると、武尊の体が一瞬、強張ったが、その後、勢いよく橘を抱き締めてきた。

そのあまりの力強さに思わずよろける。

おいおい、若くて純情ウブなのは構わねぇが、焦るんじゃねぇよ――

橘は腹のなかで笑いを堪えた。

ふたりの男は唇を合わせて、折り重なったまま布団に倒れこんだ――武尊を下にして――

咥内を舌で愛撫している間も、武尊が混乱しているのが橘には手に取るように分かった。抱かせてくれると言った筈の橘が、上に乗っているものだから、なにが起きているのかと思っているのだ。だから、唇を離してからそっと囁いた。

「――ばか、焦んな。ちゃんとおまえに抱かせてやるって…」

武尊の喉がごくりと上下した。それを見てから、橘は武尊の足のつけ根に唇を寄せた。
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